歯医者の話

 歯医者は嫌い。昔から甘い物が好きだったし、歯もほとんど磨かなかったので、歯医者のお世話になってました。何が嫌って、注射がすごく嫌で、乳歯は全て麻酔無しで、ペンチで抜いてました。虫歯だらけですが、歯を磨くことはほとんどしませんでした。歯もかなり黄色です。そんな毎日を続けるうちに、やってきました。御殿場授業とよばれる高校の分校授業で、7日間泊まりで勉強してた時です。その1日目から恐ろしい突き刺さるような傷みが。何食べても痛い。授業中も痛い。何しても痛い。歯医者へ行きたかったが、歯医者が無い。いっそ手で抜いたろうかと思うほど。そのまま痛いの我慢してほったらかしたら、永久歯の虫歯末期状態。東京に帰ってきてから、新規オープンの歯医者へ行きました。「痛かったら手を挙げて下さい」。ずーっと手を上げてました。すっげー痛い。何だこの痛さは。「大人が情けない」とか言われたけど、この医者ヤブなんじゃないかって思うほど痛かったちゅーの。器具が歯に触るごとに脳に突き刺すような傷みが、全身を走る。そして、あの音「チュィーン」。あーこの文章書いてるだけでムズムズします。結局、神経を抜くことになりました。神経って何なんだ?レントゲンを見ると抜いたんだなーって納得するけど。抜いたからなんなんだ?医者の話では真っ黒になったら抜くとのことでした。この歳で、差し歯になっちまうのかと後悔先に立たず。そんな経験をしたにもかかわらず、歯を全く磨かない毎日を送りました。そして、ちょっと痛いなと思ったら歯を磨くくらい。まー、痛くなってから歯磨いても手遅れなんですけどね。神経を抜いた歯が、ちょっと黒ずんできたなーと思った時、全体的に傷みを感じました。そのころは、昼は高校の実験助手、夜は大学で、休む暇無しだったのですが、実験助手を早く終わらせて、歯医者に行きました。「知覚過敏」です。なんかCMで聞いた言葉だなーと思ったら、案の定、シュミテクト渡されて終わり。でも、その医者も黒い歯が気になったようで、白いパテのようなものを付けるために、歯医者に通いました。そして、シュミテクトで歯を磨く毎日が始まりました。さすが医薬品です、高い。こんなものに1000円もかけるのもバカバカしいなーとは思ったけど、確かにこれを使うようになってから、冷たい水が平気になりました。以前はレストランの水が怖かった。暑いスープもダメな時あった。話変わるけどアイスクリームや、かき氷を思いっきり食べると、頭の後ろ痛くなるでしょ、あれってアイスクリーム頭痛という名称があるそうです。これ以外にも中華料理を思いっきり食べると頭痛がくることがあり、これを中華料理頭痛(そのまんまやん)というそうです。中華料理頭痛なんてなったことないよなー。で、だからなんだ。とにかく、シュミテクト効果は僕の中では大きかった。そして、シュミテクトにとりつかれた。しかし、無事に歯も白くなると、安心して磨くのをやめてきました。大学院に入ってからは、昼間は必ず磨くようになりましたが、朝晩は磨きません。それで、満足していました。そんなこんなで、修士2年の終わり頃、台湾人の友達の家で、中華料理を食べていると、恐ろしい傷みがしました。中華風の豚肉をかんだ時です。その後は、何食べても脳に響く傷みがきました。それと同時に親不知の痛みが来ました。ギシギシとする傷み。修士の発表も近づいてきた時期での出来事です。ここで親不知抜いて、腫れたら発表できないじゃん。しかし、傷みには勝てず、覚悟を決めて、大学の知覚の歯医者へ。噂に聞いてはいたが、若い女の助手や先生がいて、なかなかいいところだ。と思ったけど、おっさんの先生が担当医になりました。それで、見てもらうと、「これはもうダメです」。結論ハヤ。なんと、前歯2本と前回神経を抜いた1本を差し歯にされました。最初、虫歯の部分削ってるのかなーと思ったら、やけにゴリゴリ音がして、「おいおい、全部削ってないか?」って思ったらホントに削られてました。この歯医者で、初めて麻酔をうちました。めちゃ気分悪い。麻酔うたれたら修士論文発表なんて絶対できないな。よだれ止まらないだろーな。「ほれへは、りほんれす。(それでは、理論です)」てな感じ。麻酔は思ったより痛くなく、高校の時に神経抜いた時と比べたら、かなりアッサリと抜けたような気がします。でも、この歯医者予約がなかなか取れないくせに、なんと先生が熱を出したのでまた来週とか言うことが2回もあった。歯に穴開けて2週間ほったらかし。そんな長期プランの虫歯治療なので、修士の発表も終わり、卒業しても続いてました。入社して横浜の寮に移ってからも、毎週土曜日は、東海大に通っていました。そこまでして通う歯医者でもなかったんですけど、大学行くのが楽しくて。歯医者と入学式がかさなった時は、もー俺おっさんなんだなーって感じました。みんな若い。おれの歯はボロボロだよ。んで、土曜日に行くようになってから女医さんが担当することが多くなったのですが、これが顔はかわいいのですが、腕がたまご中のたまご。ちょう下手。俺は実験台かーと言った感じ。一番最悪だったのが、歯の形をとるのに、石膏みたいのものをいれるのですが、何度も失敗するんです。何度も何度も石膏入れられて、かなり気持ち悪くなりました。それだけならいーけど、1週間たって、歯医者行ったら、こないだの失敗でしたので、もう一度とらしてくださいだって。オイオイ、ここまで来るのにいくらかかると思ってるんだー、電車賃返せ。かなり長い旅でしたが、ようやく治療終了。晴れて前歯3本差し歯です。ほんと、出っ歯じゃなくてよかった。出っ歯だったら、差し歯ってばれるんだろうな。僕は昔から下顎の歯が上顎の歯よりでてて、かみ合わせ悪いんですよ。いっつも、歯の検査の時は最後に「イーってやってください」の後に必ず何か書かれてました。それで、前歯3本削った時、「出っ歯にしますか?」と聞かれました。「どうなるんですかねー?」と実験してみたところ、かなり格好悪い。僕の美少年顔が崩れてました(笑)。あまりに、格好悪いので、「前のままにしてください」と注文。前の顔忘れたようでした。びびりました。しかし歯だけで、人間顔変わるんですね。そりゃー、高い歯医者行って、安全治療してもらいたくなるわ。今、考えると絶対差し歯にしなくてもなんとかなったと思う。ヤブだ。外科だったら「じゃー、腕切りますねー」って言ってるようなもんだもんな。そんで、歯医者治療の終わった最後の日に「まだ、虫歯あるけど、どうします?」と聞かれました。無論、横浜から通うはずもなく、「寮に引っ越したので、すみませんが、他の歯医者に行きます」と言っときました。そんで、「じゃー、とりあえず虫歯みせますから」で、見ると、ほんとに「ある」のが分かる。「この黒いのが虫歯です。」の言葉通り肉眼でしっかり見えちゃいます。で、今はどうかというと、歯を磨いてるのは朝だけ。朝は毎日磨きますが、やはり来ました。虫歯。ちなみに、親不知は1本あったのですが、成長しきるまで抜かないと言われ、恐怖の日に一歩一歩近づいてます。そんなわけで、会社の歯医者のお世話になりました。看護婦さんかわいい。こりゃー、仕事そっちのけで通うわ。予約とれない理由もわかる。で、歯医者ですがカッコイイ医者だった。福山雅治思いでしたね。で、最初に言ったことが「親不知あるねー今日抜きましょう」。おいおい、そりゃーまずいって、営業だよ僕は。てなわけで、来週にしました。今、思うとひと思いに抜いた方がよかったかも。その日はレントゲン撮って、歯チェックして終わり。レントゲン見て、「これなら簡単に抜けるよ」だって。で、チェックしてあやしい記号が飛び交う。虫歯ありまくりで、6ヶ所は虫歯。実際見ると気分悪い。「そういった意味では、虫歯は比較的少ないから、この際、全部直しましょう。」だって。どういった意味なんだ?来週金曜日に親不知を抜くのですが、その日は、酒もお風呂もスポーツも禁止だってさ。次の日は歯石チェック。翌日、歯石チェックに行きました。かわいい女の先生だった。プラーグコントロールってやつです。あの歯垢に色付けるヤツやりました。真紫でした。どーやら、歯茎の付け根を全然磨いて無いとのことでした。歯磨きのやりかたを1から教わりました。スーツで(笑)。歯並び悪いので特殊な磨き方をしないとダメたしい。あとは歯石とってもらって終わり。1ヶ月後に歯磨き度チェック。さー、あとは恐怖の親不知。周りの派遣の子からは「いたいですよー、ぜったい腫れますよ。」「1日中なにもできないですよ。」だって、ちょっとは、安心させろ。こわ('99/10/15)。


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