同好会の話

 「ねぇ〜、高校の時、部活何やってた?」、この質問に俺は「帰宅部」と素っ気なく返していた。しかし、それは嘘だ。過去を消そうとしている自分がいる。俺は都内でも有名な偏差値の低い高校の生徒だった。今では共学となり、進学校を目指しているが、当時は男子校でひどいありさまだった。そこには3つの同好会があった、1つは「イラスト同好会」1つは「英語同好会」、そして「コンピュータ同好会」だ。そう、俺はコンピュータ同好会会員。しかも、会長を務めた男だった・・・。

 入学して部活紹介を見た時から、コンピュータに興味があったので入会しまいた。1年生の頃は3年の先輩はいませんでした。2年の先輩に山本先輩、新谷先輩、今泉先輩、徳永先輩の4人がいたと記憶しています。まー、同好会ですから上下関係なんてものは、あまり存在せず楽しく過ごせました。同期は何人かいました。福間、石井、伊藤、保坂、横山、他。伊藤くんは身体に障害のある子でした。叫んだり、喚いたり、頭を叩いたりしていましたが、一緒に楽しい時間を過ごすことができました。同好会の活動内容なんてものはありませんでしたが、一応、文化祭に向けて出展ソフトを作るというものでした。当時、情報処理室にあったPCはPC9801VM1台、PC9801VX3台、PC9801DA1台でした。DAは先生のテスト問題作成PCなので触らせてもらえませんでした。開発は主にPC9801VXで行っていました。スペックはCPU286、メモリ:なし、HDD:なし、FDD:5inchという今では考えられない恐ろしいスペックです。それでも当時は買おうと思っても買えない超高性能PCなわけです。僕は毎年1本ゲームを作成しました。作成したといってもファミリーベーシックで馴らした、初歩的なBASIC(N88DISK-BASIC)を組み合わせて作ってる超しょぼいプログラムでしたが。1年目に作ったゲームは「QUEST」(図1参照)。これはDISC-BASIC特有の記号を組み合わせてキャラクターを作ったテキストアドベンチャーRPGゲームです。今で言うフェースマークのようなテキストキャラクターを沢山作りました。ボスキャラの「ハデス」なんて、めちゃくちゃこってて、凄かったですよ。これがテキストに見えますか?あ〜、WEB上でテキスト形式で見せられないのが非常に残念です。なぜなら非標準の記号が多かったのでwindowsで表示できないんですよ。これは、ほんと傑作でしたね。山本先輩がこういったキャラクターを作るのが得意だったので、それにアドベンチャーのフローや、戦闘ルーチンを加えてゲームと化したわけです。ポリゴン全盛期の今、このゲームのインパクトは凄いはずです。2年目になると後輩が入りました。先輩は受験勉強となり、僕は会長となったわけです。1年目に1部屋あった情報処理室は狭い廊下のような部屋に移されてしまいました。後輩は阿部、馬場、宇都宮の3人+半幽霊の高橋、小田切、望月だったと記憶しています。それなりに慕われていたと思います。僕は先輩より後輩が好きなタイプです。2年目は「QUEST」にFM音源で作った音楽をいれたものと、「KB学園殺人事件」(図2参照)という本格的なコマンド選択式アドベンチャーゲームを作成しました。これは当時の同好会員と先生の似顔絵をline、circle、pixel、paint文を駆使して作るというものでした。キャラクターは前述の山本先輩に絵を描いてもらい、僕がコンピュータグラフィック(←そんな大それたものじゃないって)におとしてました。当時は「オホーツクに消ゆ」などのファミコンソフトが流行っており、めちゃくちゃ意識して作りました。どちらかと言うとポートピアな感じのできでしたが(笑)。授業中はこのゲームのことばっか考えていて、ノートの裏には先生の似顔絵とかストーリーのフローチャートとか書いていました。このゲームは文化祭でもヒットでした。登場している先生からもなかなかの辛口評価を戴きました(笑)。ちなみに図は同好会の顧問だった佐藤圭一先生です。僕が高校1年生の時に教師になった先生で、ほんとお世話になりました。今は何故かアメフト部の顧問に代わりましたが。3年目になっても受験勉強そっちのけで同好会活動をしていました。後輩もやたらいっぱい入りました。設楽、吉野、寺前、原、角田、松崎、岡野、酒井、和田、山本、中村などなど。そんなに上下関係も厳しくなく、楽しくやっていました。3年目は、この駒場学園殺人事件にアニメーションを加えて、中間ストーリーを足して「KB学園殺人事件2turbo」を作成しました(笑)。それから新規に「おまえの冒険」(図3参照)なる3Dダンジョンの本格RPGを作成しました。「おまえ」というのは当時ファミ通という雑誌に連載していたマンガ家 桜 玉吉先生の「しあわせのかたち」に登場するキャラクターです。よーするにパクリ。ほんと、自己満足の世界でしたが、それなりに楽しい学生生活を送ることができたと思っています。卒業の時、後輩が集まって色紙とプレゼントをくれた時はとても嬉しかったです。後輩たち元気かなぁ。このホームページ見ていたらメールくださいね。やっぱ「帰宅部」より断然良い。この後、この高校の実験助手になって、暇な時とかちょくちょく顔を出すOBと化しました。究極超人あ〜るでいったらタワバ先輩かトサカ先輩ってとこですね(←こういうこと書くからオタクと思われるんだってばさぁ)。4年間OBで顔をだしてたわけす。つまり卒業してからも後輩ができてくわけです。田中、横山、安間、斉藤、梅原、野田、青木・・・みんな元気にやってんのかな?今では、コンピュータ部ということで部活動に昇進したようです。「部」になることが良いことか悪いことかは言えませんが、僕のいた「同好会」は楽しい場所でした。そんなわけで、この前、大学の文化祭に行って、久しぶりに部活のことを思い出したわけで今回のエッセイを書きました。学生のパワーってすごいですよね。学生プロレスをずっと見てましたが、毎年毎年ほんと笑わせてくれます。ピンクローション(レスラーの名前ね)のサインボールGETしたし。若さっていーですねぇと、おっさん的な気分になってしまいました。僕は大学が夜間大学で昼間に仕事をしていたため、こういったサークルに入る機会がなかったのが非常に悔やまれます。やっぱり大学生の本分は勉強より、友だちを作ることだね(笑)。それから、最近旅の話ばっかで、ホームページ開設3年経過記念するの忘れてたから(ていうか、カウンター全然増えてないなぁ)。過去の汚点発表第二段やってみました(前回「Sky Walkerの話」)。でも、今でこそインターネット当たり前の一人1PC時代ですが、当時は全くPCに触れる機会など無いのが現状だったので、コンピュータ同好会に入ったことは、少なくとも今の僕を作るプラスとなる要因だったと思います(負け惜しみ)。でもやっぱ、コンピュータ同好会はカッコ悪いよなぁ。オタクだ。暗い。21世紀も『帰宅部』と言い続けよう・・・('00/11/15)。

図1 QUEST 図2 KB学園殺人事件 図3 おまえの冒険


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