186の話

 僕の話にちょくちょく登場する186くん(25歳独身)。前回のお約束通り、彼の話をします。僕が彼に出会ったのは大学の研究室でした。僕が修士2年生だった時の学部卒研生でした。研究において僕とは直接関係はありませんでしたが、研究室でよく話をしました。もともと、僕は後輩好きなので、ほとんど全員(20人だったかな)と話をしてましたが、彼と話してる時間は長かったと記憶しています。研究室希望カードというものがあり、そこに写真が載っています。僕の第一印象は「まゆげ」。新人歓迎飲み会に186くんが来てなかったので、彼の友だち(110くん)に「今日はまゆげ、こないの?」と聞いた記憶があります。就職活動のため、これなかったそうです。就職といえば彼は推薦で受かった会社を蹴るという「来年度以降、受ける人のことも考えろよ〜」という行為をやりとげたのです。この受かった会社はSEの仕事であって、彼はSEをやりたくないとのことで、推薦書を出した研究室の先生と話し合っていました。数年後に先生に「186って覚えてます?」と聞いたところ「頑固なヤツだろ、へっへ」と言ってました。まー、この先生が男子学生の名前を覚えているというのは凄いことなんですけど(笑)。修士2年生、学部4年生は同時に卒業して、同時に社会に出るのです。何故か連絡とるようになり、帰りに食事に行ったりする仲になっていました。休日も彼に誘われるがままに数々のしょうもないイベントに参加させて戴きました。ゴジラのエキストラ、スーパースランプのエキストラ、田園調布芸能人のお宅拝見などなど。僕の企画にも参加してくれました。ピカチュ1万歩への道。こんなのにつき合ってくれるのは後にも先にも彼くらいだろう。彼の家に泊まることもしばしなありました。何もすることが無いときは映画にも行きました。「リング0」「無問題」「バトルロワイアル」「キッド」「X-MEN」「アンブレーカブル」「マルコビッチの穴」「ホワイトアウト」「世にも奇妙な物語」「ゴジラ2000」そして、彼が東京生活最後に見た映画「アナベルチョン」。彼の東京の思い出はこの映画につきるであろう。また、社会人2年目のGWに110くんも交えて3人で大阪へ遊びに行ったのをきっかけに、その後、110くんのVitzでさまざまな所へ行きました。千葉、静岡、名古屋、金沢、福島、三重、そして前回のエッセイにもあった飛騨高山。この旅行を最後に彼はひっそりと息を引き取るのでした・・・。御冥福を祈ります。はい、ウソです。今頃、Tossy(TとP間違えないよーに^^)と言う名前でアメリカデビューしていることでしょう。彼は会社を辞めて海外語学学習へと旅たったのです。この話を聞いたのは僕が引越を手伝ってもらった時でした。突然の発表で驚きました。3年間勤めた会社を辞めて、語学留学を選ぶ彼の決意に僕は感動しました。はい、ウソです。「アホやこいつ」って思いました(笑)。その時、研究室の教授の「頑固」という言葉を思い出しました。彼が決意を決めた理由は「これからは英語が必要、若い今しかチャンスは無い。」です。「思い立ったが吉日」で頑固に徹したのでしょう。確かに英語が大切というのは事実だと思います。でも、もう少し日本で勉強してからでも遅くないような気がしました。なんせ、全然しゃべれないという状態で、「行けば話せるようになる」という、かなり甘い気持ちがあるのがとても気になりました。向こうに行って日本人とたむろしたり、無口にならないことを祈ります。それから、「英語を話せるようになりたい」という裏には「話せるようになって、女の子にもてたい」ってのがあるようです(笑)。それではここで、前回の内容にふれておきましょう。前回の話は「自転車を僕の寮に置いておいて欲しい」という話です。僕は最初OKしていたのですが、よくよく考えたら、「いつ帰ってくるか未定の人の自転車いつまでも置いといて何になるんだ?」「だいたい、僕が引っ越したらどうするんだ?」と思い、売る方向に薦めました。彼曰く「戻ったら必ず乗る。自転車に特に思い入れはないが、捨てるというのが嫌だ。」とのこと。僕は「思い出のない自転車なら、置いてもしょうがない、帰ってきてから買ったほうが良い。」と説得。よって討論となったわけです。最終的に納得させたのですが、だいぶ落ち込んでおりました。結局、売ってきたのですが、売値500円。なんか、すんげー悪いことした気分。別に置いといてもよかたんだけど、なんか説得して勝ちたかった気分。僕も頑固なんかなぁ。この場を借りて謝っておきましょう。I'm sorry to say about such a thing.すんまそん。でも、やっぱアメリカ帰りに、あんなボロチャリ乗らないよ、きっと。スケボーとかのって、「ハーイ、エビリバディー、そんなバイセコーは、ださイング。」とか言ってるよ、きっと(苦笑)。で、旅立ちの前日、186くんは寮に泊まって、翌日110くんのVitzで成田というスケジュールでした。前日の夜は大学の研究室時代の女の子2人と僕と186くんの4人で送別飲み会でした。初めは新宿で集まったのですが、荷物が多いということで、荷物を寮に置いてからやるということになり、武蔵小杉でやりました。無事、飲み会も終わったのですが、ここで問題発生。186くんは110くんに電話「合コン、いまいちだった。」。実はこの時110くん、同じ武蔵小杉で休出でお仕事中。23時を過ぎているのにお仕事中。しかも、今回の飲みに誘ってない。その状況で「1時間早く来てくれ」のお願い。そして、翌日。110くんは来なかった・・・。ここで言いがかり発生。「合コン、誘わなかった宮内さんのせいです!僕は声かけといて下さいって言ったじゃないですか!」。んなアホな・・・。そんな理由で来ないわけないじゃん・・・。ていうか合コンじゃないし・・・。普通に考えたら断ったのは「1時間早く来い」っちゅーあんたのご都合じゃん・・・。110くんから僕宛に「”誘われてない(怒)”」というメールが来ていたのですが、僕はこのメールを朝見て、冗談だと思ったので流したのですが、本当に110くんが来ないと決まって、メールを見せたら、「なんで言ってくれないんですか!」と本気で怒り出すしまつ。「お世話になりました」と言って、さっそと出ていく。めちゃくちゃ後味悪い!なんで俺のせいになるんだ!カバンも持たないで追っかけて、説得すること5分。なんか、あやふやな和解で、東京駅までカバンを運ぶことに。会話もしっくりこないところへ、110くんからメール「”今から直で、成田向かいます〜”」とのこと。東京駅で合流して、もとの3人に戻りましたとさ。めでたしめでたし。あのまま、僕が切れて「もういいわ!」と追いかけなかったら、どうなってたんですかねぇ。で、成田について、お見送り。旅立ちました。あっけないもんです。駐車場がどこだか判らず、迷うこと5分くらい、なんとか帰れました(笑)。寮に戻って、びっくり。電気つけっぱなし、ガスつけっぱなし、ふとん干しっぱなし。冷たい布団で寝るのでした・・・。そんな、こんなで、186くんは旅立ったわけです。そして、「無事、目的地デンバーにつきました」と電子メールが入っていました。その後、デンバーのデジカメ画像も届きました。便利な世の中やね。

Here's to a great start and a long string of successes.
I hope everything is going well for you.
If there is any way that I can help, please let me know.
Good luck!

てなわけで、186くんは現在、海外でガンバっています。その様子はHPに公開されています。確かに人生経験という意味では、186くんは大きなモノを得て帰ってくると思います。彼の決断は尊敬に値するものだと思います。また、彼の行き方が羨ましくも思います。帰ってきてからの彼の変貌ぶりが楽しみです。がんばってちょ〜('01/6/1)。


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