新人教育の話

 先月のことですが、新人教育というものをやらせて戴きました。僕の所属するネットワークサービス事業ラインとホントの営業さんがやる合同研修でして、僕がお客様になって、新人がそのお客様のところに営業に来るというロールプレイングとかいう研修です。1対1で新人15人分の面談を行うのでした。パターンの違う会社2社(よくある建設、ねじねじ商事)のお客さんを演じました。その面談の営業態度をチェックして合否をだすのです。合格まで3回チャンスがあります。と、いうことで15人×2社×3回=90回の面接をさせられるのでした(実際は時間の関係45回くらいでしたけど)。まさか、僕が営業に指導するとは思いもよりませんでした。精神的に疲れました・・・。もともとは、僕の所属部署から3人を教育要員として出して下さいということで、人事で推薦者4名を上げているのですが、そこに僕の名前など当然入ってるわけもないのです。では、何故僕はこんなことしているのでしょうか?実は推薦者4人のうち2名がうまいこと断ったのです。そして何故か僕に白羽の矢が・・・。計画部のお偉いさんから推薦されました。当然、僕の営業態度が良いとか、そんなん見てるわけなく、「コイツでいんじゃん」ってノリだと見てます。だいたい、僕の営業態度見てたら推薦するわけないじゃん(苦笑)。初めは営業ラインの人からも3名来るということだったので、営業+NSの2名で新人1名を担当するのだと思い、まー、横に立って適当にふられたら何か言えばいいかってノリで、引き受けたのですが、前日のその内容を聞いて青ざめました。1対1で面接して、休み時間無し。90回の面接を休み無し?そんな、むちゃくちゃな・・・。普通、かわりばんこちゃうの?そりゃ新人はいーでしょ、15回に1回、まわってくるだけなんだから・・・。そして、当日。やっぱりやらされました、自己紹介。こういうの苦手なんですよね。新人45人が見てます。あーやだやだ。まー、ちょっとモゴモゴしたけど、無難にこなして、実践。まず一人目、やたらお調子者といった感じで、丁寧語が気持ち悪い。どっかで見たやつだなぁ〜って思ったら、そうだ大学院の同期Oくんだ。似てるに似てる。ということは彼もモーフィアス(MATRIX)に似てるってことだな(内話ネタ)。営業ラインの人から、「一発合格する人は非常に少ないです。」と言われているので心してかかったのですが、Oくんに似てるというのが頭から離れず、チェックを忘れてしまった。一通りそつなくこなしているし、何か終わってからの指導で、押しが強くて、合格シールあげちゃいました。あげたあとから「あれやってない、これもやってなかった。」とチェックポイントを思い出しました。大失敗・・・。そして次から採点が辛くなってしまった。チェックポイントはマナー、話し方、敬語、ノートをとるか等々です。さすがにマナーはみんなよく出来てました。一人上座を間違えた時は、「お!やった」って思ちゃったよ。で、5人目あたりに、やったら緊張してる子が来ました。「弊社」と「御社」を間違えてます。「御社のサービスを導入すれば売り上げが10%伸びます」。なんじゃそりゃ(笑)。でも、やっぱ緊張するもんだよねぇ。僕がこの研修受けたら絶対合格しないわ(苦笑)。10人目あたりに女の子が来ました。そつなくこなしていたので合格です。別に女の子に甘いってわけでもないですよ。僕より確実に上手く話してます。営業はバッチリですね。なんでも僕の部署を希望していて商品企画のようなことがやりたいそうです。で、ホント入ってきました。そして、営業グループに配属。僕の評価が良かったせいかな。恨まれてたりして・・・。で、一通り1回目の面接が終わってお食事。他の指導員も同じような感じだそうです。みんな、「製造メーカーというイメージが強いのですが、これからはソリューションとしてビジネスを総合的にうんたらかんたら」言ってるそうです。僕のところも一緒(笑)。そして、午後のぶっ続け、面接。2社目の「ねじねじ商会」。説明遅れましたが、よくある建設はよくあるお客さんで、ねじねじ商会は、無愛想なお客さんなのです。2回目の面接はこの2社を切り分けて演じなくては、いけないので、たまにどっちがどっちだか判らなくなります。無愛想なお客さんを演じている時に足がつって、半笑いになっちゃいました。めちゃくちゃ足痛い。でも、新人は真剣。このギャップが面白くてつい(笑)。無愛想なお客さんの役は結構楽です。「あーそー」とか言ってれば良いのです。でも、新人はなんとか「つかみの話」をして場を盛り上げようと必死になるのです。「今日はとってもいい天気ですね」とか、「玄関の受付が綺麗」だとか、「ネジっていろんな種類があるんですねぇ」とか頑張ってます。さっきの女の子も「私、趣味が日曜大工でよくホームセンターにネジを買いに行くんですよ。」だって。ありえへん、ありえへんとか思いつつ、こっちも真剣に聞いちゃったよ。で、3周目が終わって時間切れ。45回の面接終了。めちゃくちゃ疲れた。最後にやっぱりありました「総評」。もー、ほんとこういうの苦手だからやめてよと思いつつ、偉そうに評価を下すのでした。やっぱ、ダメダメな感じになっちゃったよ。で、終わってみて思ったことは、結構面白かったってことです。やっぱ、僕は人に教えるってのは結構好きだったりするんだなぁと思いました。でも人前は苦手。営業なのに苦手。未だに苦手。家庭教師派だね。その後、6月8日に学生懇談会ってのもやらされました。こちらは会社に見学に来た入社試験を受ける学生と若手社員の懇談会を行い学生の理解を深めるみたいなやつです。初めは統括マネージャーと呼ばれるお偉いさんと一緒に学生と懇談会。そんな偉いおっちゃんが隣にいて懇談になるかっちゅーの。僕の方が緊張してもーたわ!!「君の方から学生への質問は何のかね?」とか聞かれたらつまるわ!で、統括マネージャーが去ってからが、僕の腕の見せ所。学生は4人いたのですが、和気藹々とさせる環境を作りまして討論させるのでした。ぶっちゃっけ話を沢山してあげましたわ。「うちの会社のイメージは?」という質問をしました。「本音ベースでいーよー」って言ったら「○○社と比べて株が高い」とか「CMのキャラクター」とか人事面接で言ったらおとされんなぁって答えばかり。まー、彼らもアホじゃないから人事用の答えをちゃんともってましたけど。会社のイメージが「彼女」って答えた奴いたけど、どーなんでしょう。理由は彼女が務めてて、彼女の両親も務めてるからなんだそーだけど、「彼女」っていう言葉だけ聞いたら、なんや愛してるんか?うちの会社って感じになるかもね^^。そんなこんなで、いーのかなぁ人事的にこんな感じで進めて。まー、要点は押さえて真面目なとこは真面目に回答したからいっか。で、終わって思ったのが、何か味気なかったってこと。もう少し踏み行ったアドバイスをしてあげるべきだったなぁと思いました。アドバイスをいろいろ用意はしてたんですよ。「社会人になっても会社人にはなるな!」とか。結局、僕らは何年も会社にいると「常識」とか「範囲」というものにとらわれてしまいます。「そんなことできるわけないだろ。」という規制が頭の中に生まれてしまうのです。僕は出来る限り、そいった人間にならず常識に捕らわれない発想をもって会社生活を過ごそうと思ってきましたが、やはり4年目ともなると会社の常識に縛られます。頭の中で「できるわけない」というものを作ってしまいます。「できるわけない」ではなく、できるようにしなくてはいけないのですが。そいった意味で、白いキャンパスである新入社員(てなわけで、今回の絵は白いキャンパス、っちゅーか手抜き・・・)には、規制にとらわれない自由な発想を期待しています。みたいないことを言いたかったんだよね。来年はちゃんとしよう。って来年も俺がやんのかなぁ?もう、若手じゃないって・・・('01/6/15)。


エッセイのホームページに
戻る 戻る

satoru@sumadore.com