ラストサムライの話

 取材が終了したのでエッセイ書きます。久しぶりによい映画を観た気がしました。賛否両論とでもいいましょうか、めちゃくちゃ悪い評価をしている人がいますが、その評価の内容がどーもいただけないです。「勝元なんていない」とか「あんなに英語話せる侍はいない」とか「そんな簡単に天皇に会えない」とか、粗探しをするために映画見てるのかよおまえらって感じの評価が多いのです。これが普通のハリウッド映画だったりすると、そんな背景なんかより映像が凄いとかで評価するのに、日本が舞台となったとたんに、「それは設定が違う」とか「そんな人はいない」とかいう評価になるのです。これって、評論家として間違ってませんか。誰もドキュメンタリー撮ってるんじゃないんだから、架空の人物でいいじゃないですか。サムライを馬鹿にする内容で、「だから日本人はアホなんだ」とか言う映画だったら、そりゃーあんた、講義しまくっていいですよ。侍の捕らえ方が違うとか、監督がいいサムライを勘違いしているとか、バンバン評価して下さい。しかし、「勝元」なんて武士はいなかったなんて討論したってしょうがないじゃないですか。映画ですよ。では、あなたは今回のアカデミー賞を受賞した「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」を評価する時に「ホビットなんていない、時代設定がおかしい」とか評価するのでしょうか。とにかく僕は「ラスト・サムライ」について良い評価をします。単純にカッコイイからです。それでいいと思います。渡辺謙カッコイイです。ミスティック・リバーは見てないのでティム・ロビンスは評価できませんが、僕が見た映画の中では間違いなく助演男優賞です。というか、主演男優賞あげます。同じくミスティック・リバーを見てないので、なんとも言えませんが主演男優賞にノミネートされていたら、ショーン・ペンに勝っていたかもしれません。そう、助演男優賞というのはあくまでも「助」なんですよね。ラスト・サムライの勝元は主演のトム・クルーズと比べても明らかに主演を演じていたわけです。トム・クルーズは切腹をしていないのですから、タイトルも勝元のことを指していることになるのです。つまり、彼は助演という立場ではアカデミー賞には輝きませんでしたが、主演という立場では輝いていたかもしれません。で、このラスト・サムライですが、もう見たこと無いって人はいないかもしれませんが、ストーリーは「明治維新後の日本。近代国家の建設を目指し、武士を根絶しようとする政府に雇われ、近代的軍隊を訓練する教官として来日したオールグレン大尉。武士の勝元と出会った彼は、その誇り高い精神に思わず心を動かされる。(Yahoo抜粋)」でして、トム・クルーズ演じるオールグレイン大尉が最後のサムライになるさまを映画化しているわけです。日本人としては、真田広幸や小雪も出てますが、やっぱり目だってカッコイイのが渡辺謙演じる勝元なのです。まず、先ほどの悪い評価も受けている流暢に喋る英語がなんともカッコイイ。多分、アメリカ人が聞いても変じゃない英語だと思います。キル・ビルを見た人は思い出して下さい、ルーシー・リューとかユマ・サーマンが喋る日本語のしょぼさ。多分、渡辺謙はこんな風に喋ってはいないでしょう。ま、英語ができない私ですんで、想像でしかないですが。ちなみに、冒頭に述べたラスト・サムライをめちゃくちゃ悪評価した評論家ですが、キル・ビルを大褒めしてます。って書くとだいたい誰だか判る人には判るでしょう。ゴジラもめちゃくちゃ評価をよくする人です。まー、感性が違うので、この人の評価はほっときたいのですが、映画を同じ尺度で評価しない人は評論家としてダメですね。ラストサムライを評価した尺度で測ったら、キル・ビルなんて何が伝えたいのかさっぱり判りません。時代背景も何もさっぱり判りません。アニメ使う意味も判りません。ゴーゴー夕張なんて英語一言も喋ってないのですが、あれがリアリティーがあるって評価なのでしょうか?女子高生が鉄球振り回すのがリアリティーですか。真剣持って飛行機乗るのがリアリティーですか。真剣であんな人数切り殺すことがリアリティーですか。あんた、フィクション映画として自分が好きな極道映画として評価してるでしょ。僕はキル・ビルを少しもいい映画だったと思いません。その点では井筒監督と同感です。でも井筒監督も「ALI」をめちゃくちゃ好評価しておりましたが、僕はちっとも面白いと思えませんでした。ようするに自分の好きなジャンル、興味あるジャンルだけ高評価するただの人なわけです。僕らと一緒。僕も自分の好きなジャンルの映画は高評価します。ワイヤーアクションバリバリのアクション映画なんて見てるだけで高評価ですね。でも、あーいうの嫌いな人なら低評価ですね。つまり何がいいたいかと言うとメディアに携わってお金もらってる人が、公平な評価できないならボランティアで評価して、自己満足してろってことですよ。井筒監督だって、「こちとら自腹じゃ!」って言っておきながらも出演料もらってないわけないんだから、ボランティアじゃないわけよ。そんなわけで、僕は自己満足を続けるのでした。渡辺謙最高!('03/2/1〜'03/3/1)。


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