じゃーいっかの話

 JICA。その響きを知ったのは僕が大学院に入って間もない頃だった。当時は大学院と言っても大学の延長上にあるものとしか考えていなかった。しかしながら、僕は大学時代を夜間大学で過ごし、昼間は仕事をしたいたので、全日制の大学院は僕の大学生活とは大きく変わると思っていた。初めて大学院の研究室に顔を出したとき、古いパソコンが並んでてお世辞にも綺麗だとは言えないその研究室にちょっと不安を覚えたものだ。その研究室で初めて会ったメンバーが、タイ人のスラパン・イアパイプーンさんだった。彼は博士課程の3年生だったので、僕と入れ替わりとなるはずだったのだが、論文やらなにやらだ何かと大変だったようだ1年間は一緒に研究室生活を過ごすことになった。僕の中で初めての外国人とのふれあいだった。もちろん、それまで外国jンを見たことはなかったわけではない。中学や大学の英語の授業で英語を習ったことがあるし、グアムへ行ったこともあった。しかし、冗談を言ったり、世間話ができる外国人は初めてだった。その研究室には同期としてチュニジア人のベンさん、ミャンマー人のチョーさんもいた。更に博士課程にはタイ人のアタスィットさん、インドネシア人のヤンさんがいた。そして、JICAの研究生であるドミニカ共和国の日高さん、アルゼンチンのベアトリスさんの2人がいた。他の研究室の同期にも台湾人の蔡さん、韓国人のウォンくん、アルゼンチン人のアンジェラさん、リビア人のアリさん、アルゼンチン人のエリカさん、タイ人のマナさんなどなど、多くの外国人と知り合いになる機会を与えてくれた。大学院1年目で出会ったJICAの研究生である日高さんなのですが、顔はバリバリ日本人ですが、ドミニカ人です。在ドミニカ日本人って感じでだった。不思議な感じがした。日高さんはLinuxの研究をするためにJICAから研究生としてやってきたのですが、その時はJICAって何じゃいかって感じだった。大学院2年目の時、日高さんと入れ替わりの形でベアトリスさんが入ってきた。ベアトリスさんは、これまた不思議な人だった。毎週、週明けにはお土産が研究室に置いてあった。どうやら日本旅行を楽しんでいるようだ。結局、何の研究をしていたのかよく判らないままアルゼンチンに帰っていった。僕の中でJICAはお金を出して海外に遊びにいかせてくれる団体のようなイメージがついてしまった。今更、言うまでもないがJICAは開発途上国の支援をする団体だ。日高さんもベアトリスさんも日本で研究をして、母国で旗を上げるべく派遣されてきたのだと思う。僕の知らないところで苦労をしていたに違いない。そして、今は母国の発展のために努めていることだろう。そんなJICAの話はすっかり忘れて、大学院を卒業して、社会人になった。社会人1年目はがむしゃらに働いた感じだ。8時半に会社へ来て12時まで働いて、また8時半に会社に来る。そんな繰り返しだった。2年目になりお金も仕事も余裕が出始めた。友達の誘いでニューヨークへ行ったのが、社会人最初の海外旅行だった。たった、3泊5日の旅行だったが久しぶりの海外旅行で楽しかった。その翌年、一緒にニューヨークへ行った友達がミシシッピーへヘリコプターの免許を取りにいったので、その友達に会いに一人でアメリカへ行った。前回のニューヨークはHISのツアー(航空券+ホテル送迎)だったので、安心だったが、今回は航空券のみの一人旅だった。はじめてのことが多くて新鮮だった。税関の「目的は?」の質問に「NO」と答えたことなど失敗も多かった。そして、知らないうちに海外旅行が好きになっていった。会社では外国人に触れ合う機会は全く無かった。ミシシッピーから帰ってきて最初に思ったのが、今頃、研究室の人たちは何をしているのだろうかということだった。懐かしくなった。そして僕は行動に移した。ミシシッピーへ行った同じ年に、アタスィットさんを訪ねにタイへ行った。その翌月には蔡さんに会いに台湾へ行った。その翌年にはチュニジアにあるベンさんの実家へ行った。昨年はミャンマーにあるチョーさんの実家へも行った。研究室とは関係ないが、その間に留学中の後輩に会いにシカゴへ行ったり、嫁にいった同期に会いに香港へ行ったり、メル友に会いにカナダへ行ったなんて恥ずかしい話もある。今年度の目標は日高さんに会いにドミニカ共和国へ行くことだ。って、単に遊びたいだけじゃんと言われるかもしれないが、現地の友達に会うというのは、それだけで何かスリリングなものを感じて面白い。さて、そんな海外旅行に遊びふけっている中、再びJICAという言葉を耳にする機会があった。会社の同期が青年海外協力隊に合格したのだ。青年海外協力隊はJICAが運営している発展途上国への協力をする団体だ。その同期からいろいろな話を聞いた。僕の想像していた青年海外協力隊のイメージとは違った。まず、給料が80%保証されるということにびっくりした。もっともこれはJICAが払うのだが、もちろんそれとは別に現地で費用が支給されるわけだから、派遣から帰ってきた時にはお金持ちになっていることだろう。お金をもらえる語学留学という甘いイメージが浮かんでしまった。もっとも、苦労することは目に見えており、苦労との引き換えなわけだから当然といえば当然なのかもしれない。大変そうに思ったのが派遣される前の研修生活だ。まずは仙台でIT関係の研修を受け、そして駒ヶ根で語学や生きる上での知識を勉強することになる。ニワトリを絞めたりするらしい。友達が選んだ国は英語圏以外だった。そして、彼はフランス語圏のニジェールで情報系の講師をすることになった。英語だって悠長に扱えるわけではないのに、フランス語でものを教えるなんて僕にはまねできない。かなり度胸のいる決断だ。度胸のいる決断と言えば、この後、再びJICAという言葉を耳にした。チュニジア人のベンさんからの話だった。彼が市ヶ谷でJICAの採用試験の説明をうけたとだった。説明会が終わった後に市ヶ谷で合流して飲みに行った。JICAの青年海外協力隊ではなく、JICA職員の説明会だったようだ。JICAも独立法人になっていろいろと変化がおこっているらしい。現在、小泉首相の名の基に民営化、民営化が叫ばれているが、JICAまで民営化されていくのだろうか。先般、道路公団も民営化の一歩を踏んで、説明では40年後に高速道路を無料化するらしい。40年後の話を言われてもパっとしない話だ。アメリカの高速道路は無料化しているがお世辞にも綺麗とはいえない。日本は国が管理していたからこそ綺麗な道路を安心して使うことができていた部分があると思う。一概に民営化が良い、悪いとはいえないが。国は民営化による、良い面も悪い面も全て説明した上で進める義務があると思う。「民営化」という言葉のイメージが先走り、国民への説明の無いままに民営化が進んでいる気がしてならない。JICAという世のため人のため国と国との協力という基幹を営利目的の民間が管理していくようなことがあったら、末恐ろしく思う。さて、ベンさんがJICA職員になるかどうかは彼の決断しだいだが、既に青年海外協力隊の派遣に向けて研修をすすめている僕の同期は、特別なことでも無い限り、確実にニジェールに行くことだろう。ニジェールに旅立ったら2年は会えないことになるので、その前に駒ヶ根で会おうということになった。ということで日帰り駒ヶ根旅行の話のはじまりはじまり。結局今回も旅の話になるのでした。。。ニジェール日記の話がエッセイに載る日は近いかも。。。

6月12日(土)
 大事件が起きました。その内容は今は言えませんので、次回のエッセイをお楽しみに。ということで、駒ヶ根ドタキャンも考えましたが、日帰りということもあり、行くことに決めました。日帰りになった理由は友達が法事で小田原に用事があるためです。とりあえず、昨日、作った朝食を食べました。焼きそばです。池上線の五反田経由で新宿へ行きます。なんか、雨模様の空と、朝のできごとでテンション下がってきてます。早めに新宿に到着をしてしまい、朝の新宿をブラブラ。出発5分前くらいに一緒に行く友達が到着しました。いよいよ出発です。バスはかわいい女子大生でいっぱい、、、なんてことは無く、おじいちゃん、おばあちゃんで埋まっておりました。みんな飯田温泉行きか。。。3時間半のバス旅行スタートです。途中にトイレ休憩もありましたが長いです。でも、友達とずっと一緒にしゃべってたので、思ったより早くつきました。駒ヶ根インターに到着してバスを降ります。ここでタクシーを呼べという友達の指示でしたが、タイミングよくタクシーが到着しました。タクシーに乗って青年海外協力隊研修所に到着。友達が出迎えてくれます。今日は土曜日がめずらしく半ドンらしくて、帰省ラッシュのようです。午前中の授業があったので友達はスーツ姿です。館内を案内してもらいました。「ハロー!」「オラ!」「ボンジュール!」通りすがる人たちと、いろいろな言葉で挨拶してます。これも修行ですか。なんかちょっと変な光景です。一通り館内を見て無料のバスで駅周辺まで行きます。さっきのバスとはうってかわって、若い人たちであふれています。33分の電車に乗りたいという人がいて明らかに間に合わない状態にあり、バスは大盛り上がり。結局、間に合いました。すごいテンションだった。僕らも駅で降りて、駅周辺のソースカツ丼屋へ行きます。友達お奨めのお店ってのは残念ながら休業でした。代わりのお店でソースカツ丼の松を豪勢に戴きました。駒ヶ根名物だとは初めて聞きました。食事が終わってタクシーにのって観光地の光前寺へ行きました。すごいって感じでもないですが、落ち着いた雰囲気のお寺です。コケが味をだしているお寺だそうです。メインと思っていたロープウェイですが、天気が悪いし時間もないってことで取りやめになるのでした。このロープウェイは日本一長いということで有名で、駒ヶ根行くならここいかないとねー、なんて一緒に行った友達と話していた場所です。うーん、乗らずに日帰りかよ。。。次に早太郎温泉に入ります。男三人、天気の悪い露天風呂で語るのでした。なかなか気持ちのいい温泉でした。温泉を出て黒ゴマソフトクリームを食べて、しばしまったり。次に駒ヶ根池と駒ヶ根橋をちょっと観光しました。雨がちょっと降ってきたのでお土産屋で雨宿りしました。名物のごぼうチップを実家のお土産として買いました。最後に地ビールレストランでお食事です。地ビールが半額セールをやってます。標高が高いせいか、やったら酔っ払った感じがして、めちゃくちゃ眠くなりました。タクシーを呼んで、駒ヶ根インターへ。駒ヶ根インターで友達と会話中に5秒くらい眠ってしまったのですが、その5秒で目がさえてしまって、帰りのバスではぜんぜん眠れませんでした。帰りのバスも3時間半です。友達2人は爆睡しております。一人寂しく本を読んで新宿に到着です。家について、朝の大事件の処理をしに行きました。。。

って、ぜんぜんJICAの話になってないね。次回、じゃーいっかなんて言ってられない「事件の話」お楽しみに('04/6/15)


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