コーチ本の話

 最近、新入社員が反抗期というか、どうもコミュニケーションが旨くいってないように感じます。僕のコーチングのやり方は、新入社員にとってプラスになっているのか、悩んでまして、振り返る意味でコーチングをもう一回、勉強しようと思い「コーチングが人を活かす」という本を買いました。初めてのコーチングで、実験みたいになっていて、新入社員には、ホント申し訳ないと思っています。コーチング期間は6月までなので、あとわずかですけど、少しでも新入社員にフィードバックできればと思い買いました。その中の表題とエピソードを書きます。

(01)引き出す
 これがコーチングの基本です。自分の意見を押し付けるのではなく、質問をして相手に気づかせる。そうは言っても新入社員に気づかせるっていうのは本当に難しいです。遠回りな話をしても、全く「何を言ってるの?」という感じになってしまうし、ストレートに言ってしまうと指示・命令になってしまいます。1回、まわりくどい方法で「間違っていることはない?」と聞いたら「ありません」が回答でした。仕方なく、「正解は○○でした」という、何やっているんだ的なコーチングをしてしまったことがあります。

(02)かたまりをほぐす
 相手から漠然とした内容の答えが返ってきたら、その内容についてイメージが湧くまで質問を繰り返すことなのですが、これも質問をしつこくしてると、しつこい人だなと思われてしまいがちです。相手が異性だったりすると、「この人、私に興味持ちすぎ、気持ち悪い」なんて思われてしまうんじゃないかと、なかなかできなかったりします。まー、変に異性って意識すること自体、コーチングとしては間違いですけどね。でも、実際問題は、難しいですよ。信頼関係が必要ですね。

(03)答えられる質問をする
 これも重要です。いきなり、答えられない質問をしても相手がつまってしまいますので、簡単な質問をしてリラックスさせましょうと言う事です。これって、まさに、タモリの「髪切った?」ですよね。これ答えられない人いませんからね。答えは「切った」か「切ってない」ですから。会話のテクニックを意識しないで身に着けているんでしょうね。うちの新入社員はプライベートの話をあまり好まないのが、ちょっと難しいところです。仕事とプライベートの境界線は人それぞれかもしれないから難しい。

(04)「なぜ」と「なに」
 相手が答えやすい質問は「なに」を追及することで、「なぜ」を追求するのは難しいということです。「なぜ」という言葉は悪いことを追求されることに使われるケースが多いので、自然と聞かれた側も嫌な気分になってしまうそうです。だから、「何?」を使うことで相手が答えやすくなるわけです。振り返ってみると僕も「何で?」という言葉を使ってきた気がします。「なんでそーなるの」(欽ちゃん)は威圧的なんですかね。これからは、「原因は何?」という使い方をしようと思いました。

(05)沈黙する
 沈黙って気まずいなーって思ってしまうのは僕だけではないと思います。黙り込んでしまう時間が続くと、何か言わなければって思ってしまいます。しかし、この沈黙も旨く使いましょうというのが、コレです。相手に「ゆっくり考えていいよ」ということを伝えることで、その沈黙は考えるている時間に変わるということです。沈黙の結果、よい答えが返ってくればよいです、結局、何も出なかったら「指示・命令」を言ってしまいそうになるのは否めません。これも相手を信じることが必要です。

(06)信頼する
 ということで、信頼が必要なわけです。「答えは相手の中にある」と信頼をするのです。確かに自分の中にある答えは「指示・命令」であって、本当の答えではないという気がします。これを新入社員に言ったら、「何カッコつけてんの?」的な反応でした。まー、確かに新入社員が「答えは僕の中にはなくて、あなたの中にあるんだよ」なんて言われたら、「ハァー?」(魔邪)って感じになりますわな。こういうのがコミュニケーションのずれを産んでいくのかな。言うタイミングも必要なんでしょうね。難しいです。

(07)旅に出す
 べつに僕みたいに海外旅行へ遊びに行かせるとかリフレッシュさせるって意味ではなりません。ティーチングではなくコーチングをしろということです。つまり、答えを教えるのではなくて、自分でみつけさせるようにするのがコーチングだということです。どうしても、自分の武勇伝というか、自分がやってきて良かったと思うことを新入社員には教えてしまい、指示・命令になってしまいがちですが、(6)のように信頼をして自分で答えを見つけてくれると信じることなのですが、これもなかなか難しいです。

(08)不満を提案に変える
 質問をうまくして、不満から提案を生ませるということです。そんなことできんのかよと思いますよね。この前、ある仕事に参加して欲しい旨を伝えたところ、その仕事は私には重いですというのです。僕の中ではそんなに重くないと思っていたので、軽く考えてよと伝えると、「これこれこういうことをしなけれいけないはず」と言うのです。確かにそう考えると重い仕事になります。それじゃ、重い仕事はしたくないのかと怒りそうになったけど、「こういうことをしたい」と自ら提案をしてきました。信じないとね。

(09)向こう側から見る
 向こう側というのは相手の立場に立って考えるということです。それには相手に関する質問をたくさんすればよいとのことです。今に思えば相手の立場で考える重要性をもっと伝えておくべきでした。新入社員のメールを読むと明らかに自分の立場でしか考えてない、というか自分は知っているから「知っている前提」でそのことを知らない人にメールを書いてしまうのです。それで相手が「?」となってしまうことが、よくあります。これはティーチングしないとダメかなぁって思っています。

(10)究極の質問
 火事場の馬鹿力的な質問をして、相手を追い込んでアイデアを引き出すそうです。「もし、明日地球が消滅したら何をする?」みたいな、仲間同士のしょうもない質問がそれにあたります。追い込んだ質問をすると思いがけない良いアイデアがでるということなのですが、これが難しいのは、お遊びと捕らえられてしまったら、相手もお遊びの答えを出してしまうことです。「もし、自分の休暇を忘れて、他の重要な仕事を入れてしまったらどうする?」って質問をしようと思います。さて何て答えるかな。

(11)かたまりにする
 さきほど紹介した(02)と逆のことをすることです。望んでいる状態=現在の状態+行動というのが、コーチングの基本公式なのだそうですが、具体的な行動が決まったら、今後は抽象的な言葉でまとめるということです。これは流石に一年目のコーチには難しい技だと思います。そもそも、望んでいる状態を具体的に聞いてませんから。「技術営業」「コンサルティング」など、やりたいことは聞いたけど、具体的にそれを目指して何をするかという話はしてません。最初からするべきでした。反省です。

(12)出会いがしらの一言
 コミュニケーションの基本ですが、「こんにちは」「おはよう」の一言で関係をよくすることです。僕も会社では「おはようございます」という事を心がけているのですが、うちの会社ってどうも「おはよう」の一言が言えない人が多くて、かえって浮いてしまうんですよね。だから、明るく「おはようございます!」なんてのが言えません。暗い「おはようございます」で始まってしまうので、コミュニケーションも捗りません。新入社員は「おはようございます」「お先に失礼します」は今のところちゃんと言ってます。

(13)同じ言葉を繰り返す
 相手の言葉を繰り返して「聞いているんだな」という安心感を与えることです。これは、コーチング研修で演習をしたりして、勉強したのですが、いあざとなるとなかなか難しいです。相手の話をオーム返しで答えるのですが、下手したら馬鹿にしてんじゃないのこのコーチって思われかねませんからね。このテクニックは明石さんまの得意技ですね。恋のからさわぎとか見てると、「○○したんですよ」って言う意見、「ほー、○○したんや、ほいで?」って返しますからね。自然にできるテクニックを身につけたい。

(14)絶妙なあいづち
 これもコーチング研修で演習しました。これは、なるべくやるようにしています。真のあいづちは顔の表情まで意識してあいづちを打つのですが、僕はどうも旨くやれてない気がします。質問があったら相手の目を見て、話をするように心がけているのですが、忙しいときなんかは、パソコンの画面を見ながら「そー、うん、そーなんだ」とか言ってしまいがちですから。これがうつってしまったのか、新入社員もパソコンの画面を見ながら話すことが多くなってしまった気がします。ダメコーチですわ。

(15)気持ちを話す
相手の言葉を聞いて感じたことを相手に伝えることが重要だということです。相手の話を聞いているときに単に、あいづちだけする人と自分の気持ちを入れる人、どちらが聞いていると思えるか、といったらやっぱ後者です。これも明石さんまテクニックです。「○○したんですよ」「ほー、そーいや、おいらも○○したことあるで、ほいで?」って感じですね。これもなかなか経験がないとできないですよね。意識すると、つい自分の意見だけ言って終わってしまいがちです。

(16)タイプ分け
 相手のタイプがどういうタイプか分類して、応じ方を考えるというものです。これは、入ってきたばかりの新入社員が相手だとかなり難しいです。何が難しいって何のデータもないからです。履歴書を見て「TOEICの点数が高いからアメリカ人的な考え方だな」なんてなるわけないでしょ。コーチをして1ヶ月くらいで、研修のために新入社員の性格を評価したのですが、今、評価しなおしたら絶対違うと思います。1ヶ月なんて猫かぶってて相手のタイプ分けなんてできないって。

(17)四つのタイプ
 1.コントローラタイプ、2.プロモータタイプ、3.アナライザータイプ、4.サポータータイプの4つに分かれるとのことですが、正直、今でもうちの新入社員がこの4つのどれに当てはまるか分かりません。コミュニケーション不足といわれてしまえば、それまでですが。自分は3の要素も含む4といった感じです。新入社員は3はないと思うので、自分と違うタイプだということは言えると思いますが、1と2の気もしつつ4の要素もある気がします。もう少しコミュニケーションをとらないとダメですね。

(18)強みを活かす
 自分のやりかたを相手に強要するのではなく、相手の強みを見つけることが大切だということです。自分の武勇伝を相手に伝えるのではく、相手の持っている強みを分析して、強みを活かすことがコーチングだということです。「名選手名コーチにあらず」なわけです。この問題は上の4つのタイプ分析がちゃんとできないと、その人の強みがなんなのかを分析できないってことです。新入社員の強みってなんだろ。気にしないところかな。それって強みか?難しいなー。

(19)最高のほめ言葉
 「よくやった!」とか「YOU」のスタンスではなく、「安心できたよ!」という「I」のスタンスで褒めることが相手の心に残る褒め言葉だということです。褒めるっていうのは、叱るに並んで難しい技術です。僕はできるだけ、新入社員がよいことをしたら褒めるようにしているのですが、心には響いていないようです。「○○するのはよいことです。これからも続けてください」とか、なんか冷めた褒め方なんですかね。「よく頑張って作りましたね」とか「YOU]になっている褒め方をしてしまいがちなんですよね。

(20)リクエストをきく
 「今日はどういうコーチングをしたらよい?」とか、聞いちゃいましょうというのがこれです。迷って悩み続けるなら、相手が何を欲しているか聞いてみようとのこと。一回、自分のコーチングについて聞いたことがあります。コーチングというか指示命令の仕方ですね。依頼に優先度が分からないとか、期限がないとか指摘されてしまいました。そこで、これから、それは直すと素直に言いました。同時にこちらのお願いもして、素直に聞いてもらいました。まー、そのお願いが守られているかって言うと忘れてそうな...。

(21)目標についてたくさん話す
 目標達成に向けて「がんばれ」の代わりに目標の関する質問をたくさんするということなのです。高度成長期の中、かつて、「がんばれ」は魔法の言葉でしたが、今は多くの若者が「目標を達成して、それで?」と思っているのです。だから、コーチは目標を達成した後の話も質問を通してイメージつくりをさせなければいけないのです。新入社員には、毎月の目標をたてて、毎月、それについて成果の話をしています。ちょっと、義務づいていて、新入社員もうんざりしている感が否めません...。

(22)夢を見させる
 別に寝かせるってことじゃないです。質問によって相手の視点を変えて、夢について気づかせるというものなのです。コーチの大前提は「すべての答えと能力は、その人の内側にある」というもので、夢もその人の中にあると信じるのだそうです。うちの新入社員は多くを語らないタイプなので、「夢について語って」なんて言ったら、話を詰まらしてしまうこと間違いなしでしょう。9ヶ月も経ってしまうと、今から夢について聞くってのも難しいですね。配属当初に聞いておくべきだったかな。

(23)価値を見つける
 相手が何に価値をおいているかい目を向けてコーチングをしなければいけないっていうことです。新入社員の優先順位は「お茶当番」と「労働組合のメール転送」だったりします。まー、そこに価値をおいているわけではなくて、与えられた仕事をきちんとこなすということだと思っています。そういった意味では、先ほど強みが分からないと言ったけど、これが強みですかね。「探求する」「説明する」など単語をいくつか並べて、どれに価値を置くか聞くとよいとのことですが、これも今更になってしまいますね。

(24)未来を魅力的にする
 未来についてできるだけ具体的なイメージを描かせるということです。山の頂上から見る眺めの素晴らしさを全く想像できない人に「とにかく登れ」などと言ってもダメで、雄大な山からの景色が想像できると自然と頑張って登るということだそうです。これも、コーチングテクニックの「引き出す」が旨くできないと、なかなか難しいです。「未来なんて想像したことありません」って言われたら、「あー、そーなの」で会話終了ってなってしまいそうですからね。コミュニケーション大事。

(25)行動は「いい感じ」から
 これからする行動の過程ではなく結果のいいことをイメージさせれば、自然と行動に移すというものです。前述した「重い仕事をしたくない」っていう気持ちは誰でも持っていると思います。新入社員もそれを持っていて「私もやらなければダメでしょうか?」と聞いてきました。過程が重いと想像したので、他の仕事で手一杯の中、やりたくないと感じたのだと思います。その重い仕事を達成した後が想像できていなかったからだと思います。それで、少し想像することができて、提案に結びついたのだと思います。

(26)距離を置いて見る
 つきはなすという意味ではなく、相手の気になっている問題について、30分話させて、ただ聞いているだけで、相手の気持ちが軽くなるということだそうです。前より冷静な気持ちになって相手を見ることができるようになるとのことです。今のところ、新入社員と誰かの関係がうまくいってないということはないので、こういった相談は受けてないですが、むしろ、コーチとの関係がうまくいってないんじゃないかって感じることがあるので、誰かにこれやって欲しいです...。

(27)点数化する
 理想の状態を10点満点として、今の状態を採点させることで、行動を客観的に見ることができるようになるというものです。「なんだかうまくいってない」という漠然と思っていることに、点数化することで進むべき道が見えてくるということだそうです。点数をつけさせるのは、簡単なことですが、その後のフォローが難しいですよね。「5点です」と言われて、「じゃー、あと5点を埋めるには何をすればよい?」ということになると思いますが、「それが分かってたら悩んでませんよ」とか言われたらどうしよ。

(28)チェックリストをつくる
 オリジナルのチェックリストをつくらせて、やる気を引き出すということです。そういう意味では前述したように、今月の成果と来月の目標を書かせています。チェックリストとまではいってませんけどね。配属当初から作らせていればよいのですが、これも今更な話になって、負荷が増えてしまうだけと捕らえられそうですね。新入社員はやる気はあると思うのですが、どうも覇気が無いんですよね。この本をもっと早く読んでおけば、チェックリストを作らせてたのにと反省しております。

と、ここまで書いたところで疲れてしまったのです、以下の内容は次回のエッセイで書きます。コーチングってコミュニケーションが旨くいかないとホント大変です。自分の能力の無さが、新入社員にも申し訳ないと思ってしまいます。

(29)お話をつくる
(30)枕詞を使う
(31)切り口を与える
(32)広く多くのことをきく
(33)なぜを伝える
(34)本当の提案をする
(35)とんでもないリクエスト
(36)コーチさせる
(37)フォローする
(38)失敗する権利を与える
(39)クローズド・クエスチョン
(40)ファイヤー
(41)ほめ続ける
(42)絵を差し替える
(43)エネルギーを蓄えさせる
(44)モデルになる
(45)なりきる
(46)宝物を掘り起こす
(47)メタ・コミュニケーション
(48)最後まで引きだす
(49)エネルギーを与える
(50)腕をとことん磨く

一応、50項目全て読みましたので、この知識を活かして、うちの新入社員を立派な2年目の社員にすることが、この2月〜3月の目標です。頑張ります('06/2/19)。


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