営業の話

 研修が終わり配属が「営業」になってしまいました。第3希望まで書かせといて、希望完全無視でした。どんな意向があるのか、全く理解できませんでした。修士卒で「研究」をするスタイルを学んできた人をいきなり畑違いの「営業」にいれるというのは、どうしても、タダ、人で不足の場所の穴埋めにしか感じずやりきれない気持ちです。修士でて営業なんて、ほんと情けない話ですよね。営業を馬鹿にするわけじゃないけど、今まで自分がやってきた勉強や、技術者になるための自分を応援していただいた人に申し訳なくて情けなくなってしまいました。特に親に言うのが情けなくて、帰り道に胸がつまって、涙が止まりませんでした、久しぶりの涙でした。最近、涙腺弱いからドラマでも泣くけど、それとはちがう、悲しい涙でした。ドラマ以外で泣いたのは、母さん代わりのおばーちゃんが亡くなった高校1年生以来でした。親に電話した時も涙がでてしまいました。僕と同期のやつで、慶応の学部生がいて、そいつも僕と全く同じ状況です。ま、一人じゃなかったってことで、いろいろ言い合ってストレス発散チックしてます。そいつとは、長い付き合いになりそうです。彼は「慶応プライド」、僕も「修士プライド」があり、営業が納得いきませんでした。希望を聞いた1日目は前述したように泣いて、「辞表」も書きました。辞表の内容は「辞表:私、宮内は会社が信用できなくなりました。このままでは、会社に大きな損益を与えることになると思われるので辞任いたします。私は修士課程を修了して技術を買われたものだと思っていました。営業という仕事を馬鹿にするわけではありませんが、人には得手不得手、適材適所というものがあるということを二十四年間生きてきて痛感しています。また、自分は技術者を目指して今日まで生きてきており、たくさんの方々のお世話になってきました。自分の信念を貫けないのは、そういった方々に対しても失礼なことだと感じているので、技術者としての私を本当に必要にしていただける会社に就きたいと思います。最後に私の意見を聞いていただけるのでしたら、私のような若者を二度と作らないで下さい。私のように悩み苦しませるようなことを二度としないでください。そのためにも、適切な人事、適切な面接をして下さい。希望を聞いておいて、それらを全て通さず、「どこに配属しても頑張る」って言ったからという安易な決め方をしないで下さい。新入社員一人一人の立場になって考えてあげて下さい。人の立場で考えることができてこその企業だと思います。わがままな新入社員で多大な迷惑をかけたことを深くお詫び申し上げます。」ということで、辞表を出そうと考えてる人、参考にしてください。んで、辞表ださないまま、一週間たって、希望してないところだということを逆手にとり、失敗しても僕のせいじゃないって考えたら楽になっちゃいました。でも、技術としての自分は捨てません。それ、すてちゃうと人生全否定になっちゃうから。営業嫌々度、希望してない度、営業向かない度をクビにならない程度にアピールし続けようと思います。ま、お金もらう以上は、それなりに仕事をしなくてはいけないので、そこでしか得られないモノを自分の力に換えていこうと思います。営業の経験なんてなかなかできるもんじゃ・・・あるか?んー仕事はホント誰でもできる内容ばかりですが、職場の雰囲気は結構いいし、部長も課長もいい人で、僕の立場を理解してくれてる感じがします。まわりの先輩も明るい人ばかりです。心配なのは宴会芸です。なんか期待してる目をしてるのが怖い。ま、何事も経験経験、責任の無いうちに出張同行しまくって遊びたいと思います。3年後に営業のプロになってないことを祈ります。('98/5/15)


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