出世の話

 いつかはくると思っていたが同期が主任になった。うちの会社は担当・主任・マネージャ・部長というランク付けになっている。最近は年功序列ではなく資格、研修、TOEICで決まる傾向がある。実際、僕はどれも満たしていないので主任になるわけはないのだが、同期が先に昇格するとなると、悔しい思いにかられた。昨年、院卒の先輩が主任になって「早いなー」と感じだ。これまでは一般に9年目、10年目くらいが主任になる年齢であった。それが6年目で主任になった。とは言うものの6年目と言っても院卒となると2年プラスされて8年目扱いとなる。僕は今年で6年目。つまり8年目扱いとなるわけであるが、この時点で昇格は無かったので、先輩より遅れていることは確かである。他の院卒の同期も今回は昇格は無かったので、自分だけ遅れているというわけでは無いので、安心感はある。しかしながら、今回昇格した同期は学部卒であり、生粋の6年目での昇格となる。本当に驚いた。院卒の2年の差を埋められ、さらに越えて主任となったわけである。これはさすがに悔しい感に襲われ、恥ずかしい話、素直に同期の昇格を喜べなかった。彼は2浪をしており、年齢は僕と同じである。2浪と聞いてピンと来た人がいるかもしれないが、そう、彼は有名大学を出ている。しかも国立大学で1番と言われるT大学の卒業である。これが出世コースというものなのだろうかと本気で思ってしまった。単に僕の妬みであって、彼の実力が主任に昇格させたのだと思うが、T大卒は優遇されるという厭らしい考えが浮かんでしまった。主任になると残業代がつかなくなり、いわゆる裁量制度というものになる。だから、以前の部署にいた時は残業、残業で大変だったが、残業代が出たのでやりがいはあった。それが主任になったら付かなくなるのであれば、主任になんかなりたくないと思ったものだ。ただし、主任はみなし残業という、ある一定の残業代が含まれた給料がもらえる。それが約25時間。25時間を越えても残業が付かないので、25時間以上働く担当の方が給料がよいということもある。実際、前の部署では60時間、70時間と働いていたので、主任より多かったのかもしれない。しかし、今の部署は残業がほとんど無い。残業代が付かないと担当はバイト並み、いやそれ以下の給料となってしまう。だから、今の仕事を続けるのであればみなし残業の付く主任となって9時5時生活を続けたいという厭らしい考えが、主任になった同期を羨む要因でもあった。同じ時期にマネージャの昇格もあるのだが、こちらはマネージャ試験をパスしたものが通る。今回マネージャ試験を受けて通らなかったのは若干1名、僕の親しくしている主任だった。とても気まずく、なんと話しかければよいのか困った。彼も悔しい思いと羨ましい思いにかられているに違いない。7月1日は昇格の時期と共に、異動の時期でもあり、僕も前の部署の兼務辞令が出て、仕事が若干変わる。不採算事業のサービスを辞めさせる仕事から、不採算事業の基盤を変える仕事になるのだが、あまり内容は変わらないので、残業は前よりはあるものの、ほとんど変わらないことが予想される。いわゆる、サービスを集約させる仕事に移って半年間、何をしてきただろうか。正月休みが終わり、初めは前の部署の仕事の引継ぎを行い、送別会があり、新しい部署に慣れてきたと思われたところでいきなりカンボジアへ旅行。旅行から帰ってきて週に1回は必ず飲み。その後も新潟へ行ったり、長野に行ったり、トルコへ行ったり、ニューヨークへ行ったり、遊びほうけていた。会社ではインターネットで海外旅行のページを調べたり、保険についてや海外の詐欺について調べたり、一日中、日経BPとRBBトゥデイと携帯ウォッチを巡回して終わったり、友達や後輩と一日中メールをやりとりして終わったりの毎日。18時過ぎには会社を出て、友達と飲みに行ったり、ラーメン食べに行ったりした。早く家に着いた日もパソコン繋げて1日中メッセンジャーをやっていたり、DVD見ていたりとなんのスキルアップをしようと思っていない。こんなんで主任になれるわけがない。会社では時間があったのでEラーニングというWEBでの研修をいくつか受けたが、確認試験を何度も何度もやり直して、クリア(修了)することしか考えておらず、知識を頭に埋め込めようという気持ちがゼロ。こんなんではいくつ研修を受けても意味が無い。英語も大切だと思い「マジックリスニング」の効果がほとんどなかったにもかかわらず「スピードラーニング」を買って、毎朝、電車内で聞き流している。楽してスキルをアップしようという甘い考えがダメダメ人間となる。以前の「ドリッピー」同様にここちのよいBGM化しており、日本語部分しか聞き取れていない始末。1ヶ月に1CDと決められているのに、早く習得しようと1週間に1CDとしていたので、何も身に入っていない始末。やっぱり大切なのは単語力ということで、携帯ウォッチで調べた「えいご漬け」を購入。初めは面白くて何度かやったか、最近は立ち上げもせず、立ち上げたとしてもメッセンジャーにメッセージが入ったら、そちらに集中してしまう始末。このままではいけないと思い、Eラーニングではスキルは上がらないということで、まずは必須研修の講習を受けて、徐々にスキルアップさせて来年の昇格時期に挑みたいと思っている。しかしながら、もともと頭の悪さというのは、なかなか良くならない。以前にも話したかもしれないが、入社当時、販売職に配属されたのが僕と有名大学Kを卒業している同期の2名だった。当時の僕の上司は『エリート』をとるか『貧乏な努力家』を取るかで、僕を採用した。当然、僕が後者である。結果としてグループの人は上司の判断が正しかったと言ってくれている。エリートは会社を辞めたからにすぎないが。何が言いたいかというと、僕はK大学にもT大学にも受かるような人間ではない。つまり、自分から努力する気持ちをとったら何も残らないのではないかと思う。入社してから努力ということを忘れてしまっているように思う。昇格には頭のスピードと記憶力、そしてスピーチと説得力が必要だと常々感じている。あがり症の僕が出生をするのは難しい。それでも、一歩一歩着実に進める方向で頑張っていけば、努力が報われる日がくると思う('03/7/15)。


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