続コーチ本の話

 前回の続きです。この本の成果を出そうと新入社員と話し合いをしたのですが、コーチングの難しさをとことん味わった一日でした。自分のコーチング能力の無さに自己嫌悪です。こないだ読んだ「コーチングが人を活かす」を読破したので、その手法を活かして、うまくコーチングをしようと思い話し合いをする機会を持ったのですが、本に載っていない展開ばかり、一時、険悪な雰囲気にもなるし、「ひととして」というダメだしもくらいました...。最終的には良い雰囲気で終わることができましたけどね。新入社員も経験することが重要ですが、コーチも経験が大切ですね。不運にも経験の無いコーチに着いてしまったうちの新入社員には、ホント申し訳ないと思うけど、一生懸命やりますので、お許しください。その後、「ひととして」の意味は「ひととして傷つく」という意味で、「ひととして」のダメだしをしたわけではないと言われました。また、「私をコーチングすることの目的(ゴール)は何ですか?今の状態では「ミスを失くすこと」が最終目標のように私には伝わってくるのですが・・・」と聞かれました。最近、ミスの指摘ばかりした結果です。こんな風に思われていたのかって、少し悲しくなったけど、めげずに返信。なんとか伝わったようです。てことで、前回の続きを書きます。

(29)お話をつくる
 別に作り話をするってことではなくて、具体的なストーリーで「AはBである」を伝えるということです。僕は「べき論」をかなり新入社員へ押し付けているような気がします。この前も飲み会の参加可能日とグループメンバーに聞いていたのですが、その候補日より後に開催通知が出たので、「日程を確認した日より前に、その日はやらない旨などを伝えた方が良いですよ。回答した参加可能日に予定を入れないようにしている人もいると思いますので。」とストレートに指摘してますがお説教に聞こえてるのかな...。

(30)枕詞を使う
 これを使うと言いにくいこともいえるということなので、僕もそうすることにしました。初めに「コーチングをさせて」と言い切ってしまうのです。でも、これも相手によりますよね。「何を話したいのか内容を教えてください。事前に内容を決めないと無駄な会議になります。」とか言ってくるんですよ。これは厳しい意見ですよね。会議と話し合いは違うと伝えたけど、どう思っているのか。その話し合いの場でも「自分が必要だと思わないことは、話したくない」とか言われる始末。あー、辛

(31)切り口を与える
 耳慣れない言葉を投げかけて、相手の人生を新しい角度から照らしだすということだそうです。妥協/未完了/境界線など、その人の耳慣れない「切り口」を投げかけるとで、自分を見つめなおすことができると書いてあります。これも難しいですね。へんな角度の質問をしたら「は?」って言われてしまうこと間違えなしです。「ちょっと長い間抱えている未完了を三つあげるとしたらなにでしょう?」と言った例題が書いてありますが、こんなん突然聞いたら、「気持ち悪!」とか思われてしまうそうで怖いです。

(32)広く多くのことをきく
 広く浅くさまざまな質問をして、ある1点しか見ずに凝り固まっていた脳の緊張が和らぎ状況が見通せることがあるとのことでした。これはコーチング初日から相手に慣れさせる必要がありますね。今思えば、質問をもっとしておくべきだったと思います。相手のことがちゃんと分からないとコーチングなんて出来ないですからね。もっと、質問慣れをさせて、相手から引き出すことをもっとすればよかったと後悔しています。今になって、突然、質問責めしたら、引いちゃいますもんね...。

(33)なぜを伝える
 ただ「やれ」ではなく「なぜそれをやるのか」を説明することが大事だということです。これは確かにそうですね。これは僕の先輩がコーチングをした時の経験ですが、毎回「なぜそれをやるのか」を新入社員から聞いてきたそうです。毎回、聞いてくるそうです。頭がいいやつだって言ってました。確かに、何の目的かも分からない仕事をたんたんとこなしているのは頭がいいとは思えないですよね。でも、新人は疑問もたずに「自分の経験のため」って思って欲しいってのはありますよね。最近の子は違うようです。

(34)本当の提案をする
 命令でもおせっかいでもなく、相手にノーという自由がある提案をすることが重要だということです。僕の場合、本当におせっかいって思われていると思います。とにかく、新入社員のためと思い、細かい指摘や社会人しての「あるべき姿」の指摘までしてますから。でも、「判断は君にまかせる」と言う様にしてるのですが、与えた仕事に「ノー」というようになっています。てか、これは結構、悲しいんですけどね。自分の仕事が忙しいから「ノー」でふった仕事が戻ってくるんですよね...。

(35)とんでもないリクエスト
 目標の二倍する、または二分の一の時間で達成すると決めてもらうと、エネルギーが湧き上がるということなのですが、その加減を考えないと、「そんなん無理だよ」で終わってしまいます。相手への深い信頼で、必ず達成できると信じることが大切だと書いてありますが、上記の通り、仕事が多いと思ったら、「無理です」とはっきり言ってしまうのが、最近の新入社員です。とんでもないリクエストを与えたら、「そんなんできない」って返されて終わってしまうのです。加減が難しい。

(36)コーチさせる
 コーチングに煮詰まったら立場を入れ替えると、自分の問題を少しだけ余裕をもって見ることができるよになるとのことでした。「どうすれば俺はもっといい上司になれると思う?」と聞いて見るのも手だと書いてあります。実際、自分について聞いてみました。「細かすぎる」「指示に優先度がない」「指示に納期がない」「指摘はその場でして欲しい」「期待が大きすぎる」など、ダメだしたくさん。ちょっと落ち込むわ。僕も直すから、君も直すってことで交渉しました。

(37)フォローする
 一瞬盛り上げて終わるのではなく、相手の行動の結果をききとどけるということだそうです。数日後にどうなったか進捗状況の確認が大切ということ。僕も「提出資料の見た目にこだわる」「提出資料は事前に確認する」「仕事の優先順位を考慮する」の3つを新入社員と約束したので、その数ヵ月後に進捗を確認したら、約束したことすら覚えてません。進捗確認に間をおきすぎてしまった結果です。でも、覚えていて欲しかったよ。忘れてるってことは、意識的にやっていないってことだからね。悲しかった。

(38)失敗する権利を与える
 失敗は成功の母ってことですね。これは配属当時から伝えております。新入社員は失敗を恐れちゃだめ。ただし、同じ失敗はするなと伝えています。でも、最近、失敗することに慣れてしまっていて、提出する資料をちゃんと確認しないで、レビュー時に注意されて、その時、直せばいいや的な考えがあるようで、注意しまくりました。「ミスの原因は何ですか?その原因を無くすには何をすればよいですか?」という質問をしたところ、優等生的な意見がすぐに返ってきました。ホントに考えて出した答えなのか疑問です...。

(39)クローズド・クエスチョン
 勇気と思いやりをもってイエスかノーかを迫る質問をするとよいと書いてあります。コーチングで重要なことは相手の中にある答えを引き出すことであり、それを実現するためにはオープンクエスチョンを多様することが重要ですが、相手との関係を崩さなければ、 クローズクエスチョンを使うのも効果があるとのことでした。「ホントにやる気があるのか?」という質問です。一歩間違えると、関係が崩れますが、やる気を与えることができるとのことです。僕の場合、残念ながら信頼関係が強くいないので難しいかも...。

(40)ファイヤー
 福澤かよ。最後に「必ずやってくださいね」とストレートにリクエストすることがファイヤー(火をつける)なのだそうです。先ほど書いた優等生的な解答は「仕事を順序だてて整理し、一つの仕事を終えた後には確認を怠らないこと」です。有言実行するように、言いました。あまりに直ぐに答えがきたので、もっと考えてと伝えたら。「早いか遅いかは人の人の感覚で違う!私が深く考えた結果だ」という反論が着ました。まー、そーだけどさ。優等生の回答じゃなくて、できる回答が欲しかったんですよね。

(41)ほめ続ける
 小出監督はほめるて伸ばす監督です。タイムが悪くても「キューちゃんいいねぇ」と言って、伸ばしたそうです。相手を毎日ほめ続けるのがよいとのこと。「叱らない」というコーチングのしかたもあるようです。でも、ほめるってのも照れくさいものです。先般、対人関係強化スキルという研修を受けたのですが、メンバーを30秒褒めて、30秒貶して、更に30秒褒めるってのがあったのですが、間が持ちません。新入社員をほめるにしてもついついメールでひところになってしまいます。口に出すきですよね。

(42)絵を差し替える
 相手が行動を起こしやすくするために、相手の心のスクリーンに描かれたネガティブな絵を一瞬にして差し替えることポジティブな絵に替えることがコーチにはできると言ってます。こんなのベテランコーチじゃなきゃできませんね。「この件は私が入らなければいけないのでしょうか?」と新入社員に言われて、内容を伝えて「そんなに重く捉えないでください。」と心を軽くするつもりが、「重いです...」の回答。ホント、疲れます。価値観を押し付けないで、合わせるってのはめちゃ難しいことです。

(43)エネルギーを蓄えさせる
 その人のエネルギーの度合いに絶えず意識を向けて、その人のエネルギーの補充方法を見つけることが大事だと書いてあります。部下が生気のない眼をしているので、リフレッシュ方法を一緒に考えたといったことが書いてありますが、これも信頼関係がないと難しいですよね。うちの新入社員も覇気がないというか、冷めた感じなので、その旨を伝えたけど、よくよく考えれば覇気があるなしは、本人の自由だし、大きなお世話ですよね。その後に、あまり気にしないでなんてフォロー入れたから、更に信頼崩壊。

(44)モデルになる
 毎日、小さな目標を自分に課し、それを達成することで自信をつけると書いてあります。誰かをコーチしようと思ったら、目標達成ということにおいて、その人のモデルになる必要があります。僕も見本になろう見本になろうとして、頑張っているのですが、新入社員には伝わっている感じはしません。まずは自分がモデルとするふさわしいコーチを持つことが大事と書いてあります。自分の尊敬するコーチっていないんですよね。結構、放置プレーで育ってきたので、難しい。

(45)なりきる
 自分がモデルとするふさわしいコーチになりきるってことです。違う誰かになりきって、周りの人に違う接しかたをしてみるということだそーです。それまでとは違う世界を垣間見ることが可能になるとのことでした。自分の理想とするコーチがどんなふうに自分の部下を見ているかちょっとでも味わうことができたらしめたものと書いてあります。でも、僕の場合、理想のコーチが見当たらないのが問題ですね。僕の新入社員時代のコーチは放置プレーだったので、放置の目で見てもね...。

(46)宝物を掘り起こす
 相手のかけがえのない体験を質問によって引き出すということが重要と書いてあります。仕事でもプライベートでも、その人がそのときに見たように、きいたように、感じたように、自分もそのシーンを体験できるまで、興味を持って質問を繰り返すとよいとのこと。うちの新入社員はプライベートの話を極端に嫌うので難しいんですよね。仕事のことって言っても経験はそんなにないし、宝物になるような経験なんてないでしょ。プライベートの共感できることを話そうと思ってもノーリアクションですから...。

(47)メタ・コミュニケーション
 うまくいってないコミュニケーションを観察し、相手に伝えることが重要とのこと。メタとは「距離を置いて」などの意味で、誰かとの間で交わされているコミュニケーションを、ちょっと心の目を空中に浮遊させて、上から距離を置いてみるスキルだそうです。メタの位置からコミュニケーションを見て、気づいたことを相手に伝え、そして、その伝えたことについて相手がどう思っているかをきいてみて、円滑なコミュニケーションに戻すとのこと。難しいスキルですけど、話し合いでは大切ですね。

(48)最後まで引きだす
 相手の中に答えはあると信じて最後まで問い続けるということです。コンサルタントやカウンセラーとの違いは、引き出すこと。「きっと、答えはきみの中にあるよ。どうしたらいいと思う?」を繰り返すのです。実際、これを読んで僕は「答えは君の中にある。僕の答えは指示・命令です。」というメッセージを伝えたのですが、やっぱり分かってくれませんでした。「何言ってる?」って感じで終わりました。信頼関係が作れていない証拠ですね。あー、信頼関係を気づかないと、何言ってもダメですね...。

(49)エネルギーを与える
 エネルギーの高い人のそばにいて、自分のエネルギーを高くする。アメリカのシアトルという町は、美しいところでアメリカ人が住みたい町ナンバーワンなのだそうですが、鬱病の多い街としても知られているそうです。その理由は雨が多いことなのだそうです。エネルギーの高いひとのそばにいることが、エネルギーを高く保つことができることだそうです。そういえば、僕も長いこと仕事の愚痴をいう人とばかり付き合っている気がします。向上心のある人と話すとエネルギッシュになりますね。見本にならないとね。

(50)腕をとことん磨く
 部下の育成方法は相手によって返る必要があるということです。せっかく「この本」をとったのだから、「コーチ」としての自分の腕をとことん磨いてみて、そのためにひとりひとりの部下の顔を思い出し、それぞれに対してどのような戦略で臨むべきかを少し時間をとって考えてみることが第一歩となるでしょうと書いてあります。僕はまだ最初の部下を持っただけですが、この一人目から難しい相手に出合ったと感じていますが、これを乗り越えて新たな部下を迎えるときに気持ちよく迎えることができればと思います

最後に冒頭に書いた「コーチングの目的(ゴール)」の返信内容を書きます。

「実現させるゴールは僕のゴールではなくて、貴殿のゴールです。貴殿がゴールを実現できるようにサポートするのが僕の目的です。今は明確なゴールが見えていないと思うので、どんな仕事をする上でも、必要になる業務の基本的なことを、自らできるようにさせることが、近々の目的でした。僕らの業務は人間がやっていることです。ミスを完全に失くせるなんてことは無いと思っています。重要なのはミスに気づくことです。そして、直そうと思う気持ちです。直そうという気持ちがあれば、自然とミスは少なくなると思っています。もちろん「ミスを少なくすること」も最終目標ではなくて、実業務をする上で当然のことと思っております。最近、ミスの話ばかりしてしまっているので、貴殿にそう感じさせてしまったのは、申し訳なく思います。」

こんな感じの返信でしたが、この返信をすることが正しかったか、正しくなかったかは分かりません。新入社員にどう伝わったかも分かりません。それでも新入社員が成長してくれることを信じるしかありません。いつか、コーチがいたから今の自分がいるんだなって、自分の成長を感じてくれると嬉しいです('06/3/4)。


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