不妊治療の話

 恐ろしく金かかります。もっと良いマンション買えたんじゃないかってくらいかかります。若いうちに産めってことですね。前回のエッセイはシリアスにきめてみましたが、2年以上の不妊治療はそりゃーもう大変です。2009年5月頃から不妊治療が始まりました。先ずは武蔵小杉ノアウィメンズクリニックのひげでボソボソ話すという先生のところに嫁さんが通い始めました。嫁さんの卵子の数値がどうも良くないようですが、タイミング治療を始めることとなったのです。2009/7/27に精液検査を行いました。病院へ行って、個室に入って雑誌やAVを見ながら精液採取をするのです。初めて病院へ行ったのですが、ご婦人だらけで、居場所に困ります。結果は嫁さんが聞くことにして、一人個室で採精してさっさと帰りました。精子自体は問題ないのですが、濃いので運動量が遅いとのこと。満員電車みたいになっているようです。しばらく、ノアウィメンズクリニックでの治療をしておりましたが、一向に結果がでないので、もっと有名な病院に変えるということで、2010/2/18から、新宿の加藤レディスクリニック(KLC)に変更して、嫁さんが通院を始めました。ここは、嫁さんの友達が通っていた病院で、出産したという事例のある場所なのです。というか成功事例が多いので、地方からも沢山の患者が来ており、常に満員なのです。嫁さんは夜勤のある病院で勤めておりましたが、ストレスを失くすために夜勤の無い病院に転職しました。しかし、転職後も辛い病院勤めとなりそうなので、すぐに退職して、病院のパートを週4日することとなりました。2010/3/17、2010/3/31と嫁さんの通勤が続き、2010/4/10に私もKLCに通院しました。本当に大病院といった感じで、儲かってますってのがところどころに見え隠れします。しかし、医者や看護士の態度がとっても横柄なのです。儲かっているからなのか、優しさが感じられず、事務的にこなすって感じなのです。2010/4/27に初めての顕微受精をすることのなりました。心の葛藤はもちろんあります。いわゆる試験管ベイビーと言われるものなのではないかと考えさせられます。2010/5/4、2010/5/8とKLCに嫁さんと一緒に通って、2010/5/10に分裂したという報告ももらうのです。分裂というのは、細胞分裂で8つくらいに分裂してから子宮に戻すのです。しかし、グレードといわれる卵子の性能も良くなかったようで、結果的には着床しませんでした。嫁さんはとっても悲しんでおりました。本当に辛い治療なのです。請求額は37万3千円という精神的にも懐的にも辛い治療なのです。2010/5/22、2010/5/26、2010/6/20と嫁さんの通院が続きます。そして、2010/6/3、私もKLCに通院して、精液採取を行いました。そして、2010/6/5に朝からKLCに行って結果を確認しましたが、採卵ができず失敗に終わりました。何の準備もしてなかったのですが、病院の帰りに旅に出ました。佐野厄除け大師でお祓いをしてもらうことにしたのです。佐野ラーメンを食べて、そのままお泊りセットもなく鬼怒川の温泉に泊まりました。やけ旅行です。2010/6/26に再びKLCに通院します。今回も採卵できずに失敗に終わります。病院の帰りに白山で紫陽花を見て、今半ですき焼き食べて、活寿司で寿司食べて、やけ食いです。2010/7/6、2010/7/28と嫁さんが通院します。失敗しても治療費は33万6千円の請求です。もう辛さがピークになってきたので、暫く病院通いを休憩して、嫁さんの体力健康対策をすることになりました。パートも週4日から週3日に減らしてストレスを少なくします。健康対策は山登りです。8/1に黒山三滝、8/7に尾瀬、8/15に大山、8/28にスリランカの山、8/12に念仏山、9/20に金時山、9/24に屋久島、10/12に白川郷と登山と旅をしまくりました。歩くことで妊娠しやすい体を作るのです。そして、KLCは患者に厳しいということで、田園都市レディースクリニック(DLC)に変更しました。2010/11/8、2010/11/15に嫁さんが通院します。2010/11/18の早朝に精液採取して、嫁さんが病院に持って行きます。そして、移植を行います。この時の請求は24万1千円です。会社に申請すると補填されるということが分かり、10万円の補正金を受け取りました。2010/11/19に嫁さんが通院します。グレードAということで、山登りの効果が出たようです。2010/11/20に私もDLCに通院し移植をします。その後、直ぐに奈良へ旅行に出かけてしまい、歩きまくったのが良くなかったのか、2010/11/24に着床せずに失敗に終わったことが分かりました。グレードAだっただけに、ショックは大きいです。不妊治療は甘くないです。妊娠した兆候があったと医者は言っていたので、本当に奈良で歩いたのが良くなかったのかもしれない。自分の旅行馬鹿に反省する一日でした。でも、嫁さんは奈良の旅行は楽しくて、とっても良かったと言ってくれました。2010/12/11に朝から嫁さんとDLCへ行きましたが、採卵できずに失敗に終わりました。2010/12/16に神戸、2010/12/31に香港と国内、海外の旅行をして、傷心旅行です。この香港が2人で行く最後の海外旅行となりました。そして、H22年度の不妊治療医療費は123万円となりました。確定申告で高額医療の補助があることを知って必死にレシートを集めます。H21年度は既にレシートを捨てており申告できず。もったいない。年があけて、2011/1/14、2011/2/3、2011/2/12、2011/2/13と嫁さんの通院が続きます。2011/2/15にも朝に精液採取をして、嫁さんが病院に持っていって移植をします。24万1千円の請求です。2度目の会社補填申請をして10万円をもらいます。年度に2回申請ができるのです。2011/2/16に嫁さんが通院して、結果はダメだと分かりました。2011/3/2に嫁さんが通院します。結婚記念日が過ぎて、2011/3/11の東日本大震災が発生します。多くの命が亡くなりました。新しい命が産まれるよう努力をしておりますが、うまくいきません。2011/3/7、2011/3/12、2011/3/14、2011/4/2、2011/4/8と嫁さんが通院をします。4/8には購入したマンションに引越します。心機一転することで妊娠したというケースもありますので、期待をします。2011/4/10、2011/4/11と嫁さんが通院します。2011/4/12に私も通院します。精液採取して、16万8千円の請求となります。年度が変わったので、会社の補填10万円を再び申請しました。2011/4/13、2011/4/17に再び嫁さんが通院します。採取した卵子のグレードがAなので、期待をします。2011/4/20、2011/4/23、2011/4/27と嫁さんが通院して結果はまたダメでした。不妊治療は本当に甘くないです。ダメと分かり、ゴールデンウィークに四国に傷心旅行へ行きます。2011/5/7、2011/5/21に嫁さんが通院をします。5/21は嫁さんの誕生日です。ペットショップでチワワを買いました。子供は諦めて犬との2人と1匹の生活が続くことも覚悟します。犬の名前はマロン。不妊のことで嫁さんと喧嘩もしたけど、お腹を向けて寝ているマロンを見て笑ってしまい喧嘩も収まるのでした。マロンが幸せを運んでくれています。2011/5/30、2011/6/6、2011/6/22、2011/6/29と嫁さんの通院が続きます。6/12に祖母の妹が亡くなりました。また一つの命が消えましたが、なかなか新しい命は産まれません。しかし、弟の嫁さんが先に妊娠したことが分かりました複雑な気分です。2011/7/1、2011/7/4に嫁さんが通院します。。義妹の懐妊は、不妊治療中の嫁さんにはなかなか言えませんでした。2011/7/6に私もDLCに通院し、精液を採取しました。採卵はうまくいかなかったので、精液を凍結することになりました。10万9千円+16万8千円の請求です。再び、会社補填10万円を申請します。これが今年度最後の申請になります。川崎市でも請求ができるということで15万円の申請をします。2011/7/8、2011/7/13、2011/7/23、2011/7/29、2011/8/1、2011/8/3、2011/8/6と嫁さんの通院が続きます。2011/8/8に前月に凍結した精液を使って、顕微授精を行います。11万5千円の請求です。再び川崎市15万円の申請をします。2011/8/12に嫁さんが通院します。卵子の分裂のスピードが遅く今回もダメだと思ったのですが、通常より遅れて分裂が見られたので、卵子を母体に戻すこととなりました。8/14に富士山で祈願をしました。富士山の山頂の神社で「夢かなう守」を購入。2011/8/17に嫁さんが通院して、陽性反応があったことが分かりました。市販の妊娠チェックも陽性反応が出ています。喜びと不安に包まれます。喜びはもちろん嫁さんが妊娠したことです。不安は通常より細胞分裂が遅かったということから、健康な子供が生まれてくるのかという葛藤です。そんな中、奈良の反省もせずに8/18に青森の旅行へ行ってしまいました。ただ、奈良の時は着床をする前だったのですが、今回は着床をした後なので、安心感があります。2011/8/26、2011/9/2、2011/9/7と嫁さんが通院をして、DLCの通院は終了です。H23年度の不妊治療医療費は147万円となりました。高額医療控除の申請もしました。そして、私の誕生日となる9/8に日本医科大学に移り、妊婦としての通院となるのでした。悪阻はそれなりにありましたが、悪阻が終わった後は、マロンと11/13に箱根、11/26に鎌倉、12/4に渋沢丘陵、12/10に等々力渓谷、12/24に等々力緑地、1/3に加瀬山、1/14に大山阿夫利神社、3/3に河津逆川高原、3/13に梅ヶ丘と2人と1匹の旅行を楽しみました。子供が生まれたらマロンとの旅行はなかなか行けなくなりますので、妊婦と愛犬との旅を楽しみました。2012年には1/8に三重の伊勢神宮、1/22に山形の銀山温泉と泊まりの夫婦の旅行も楽しみました。3/3のマロンと一緒の二人と一匹の河津旅行で、国内の宿泊旅行も最後となりました。そして出産予定日を過ぎても子供は産まれず、5月5日の子供の日に男の子を無事に授かることができました。不妊治療は2年強と長いようですが、もっと大変な思いをしている人が沢山いると思います。私たち夫婦は2年強という時間で命を授かることができました。夜勤をやめたお陰なのか、山登りで健康になったお陰なのか、子授の神社を巡ったお陰なのか、富士山のお守りのお陰なのか、新居に引っ越したお陰なのか、幸せを運んでくれたマロンのお陰なのかは分かりませんが、無事に子供を授かることができてとても嬉しいです。嫁さんのお陰であることは間違いないと思います。不妊治療にめげずに逃げ出すことなく諦めなかった嫁さんに感謝しています。男の私には分からない辛さがあったと思いますが、それを乗り越えて、息子の岳を抱かせてくれたことに感謝しています。今回、私たちの不妊治療に詳しい経過をインターネットに公開してしまいましたが、私たち以上に苦労して不妊治療に悩んでいる人や、不妊治療をすべきかどうかを悩んでいる人に読んでいただき、新しい生命の誕生のための参考になればと思っております。日本はもっと不妊治療を支援していくべきだと思います。無駄な税金を使っているくらいなら、高額な不妊治療費用が出せず産みたくても産めない人たちがいるという現実を見て、税金を使って欲しいと思います。将来の少子化の問題は、不妊治療費の改善である程度の回復が見込めるのではないでしょうか。私たちと同じように不妊と闘っている皆様が子供の笑顔を見られる日が来ることを望んでおります。頑張り過ぎないように、頑張ってください。('12/7/1)。


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